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憲法 統治 (H29-7) 


憲法の概念に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。


1 通常の法律より改正手続が困難な憲法を硬性憲法、法律と同等の手続で改正できる憲法を軟性憲法という。ドイツやフランスの場合のように頻繁に改正される憲法は、法律より改正が困難であっても軟性憲法に分類される。

2 憲法の定義をめぐっては、成文の憲法典という法形式だけでなく、国家統治の基本形態など規定内容に着目する場合があり、後者は実質的意味の憲法と呼ばれる。実質的意味の憲法は、成文の憲法典以外の形式をとって存在することもある。

3 憲法は、公権力担当者を拘束する規範であると同時に、主権者が自らを拘束する規範でもある。日本国憲法においても、公務員のみならず国民もまた、憲法を尊重し擁護する義務を負うと明文で規定されている。

4 憲法には最高法規として、国内の法秩序において最上位の強い効力が認められることも多い。日本国憲法も最高法規としての性格を備えるが、判例によれば、国際協調主義がとられているため、条約は国内法として憲法より強い効力を有する。

5 憲法には通常前文が付されるが、その内容・性格は憲法によって様々に異なっている。日本国憲法の前文の場合は、政治的宣言にすぎず、法規範性を有しないと一般に解されている。



解答 2


憲法総論についての基本的な問題ですので是非とも正解したいところです(テキストP4~、306、)。


肢1 誤

憲法を改正するには、国民投票も必要となるほど厳しい条件が必要となっていますね。容易に改正できない「硬い」性質という意味で硬性憲法と言われています。日本国憲法がその代表例です。これに対し、通常の法律の立法手続によって改正できる憲法のことを「軟らかい」性質という意味で軟性憲法といいます。

例えば、成文憲法のないイギリスの憲法は、過去の慣習や判例の蓄積等が憲法となります。このような憲法を不文憲法といいます。そして、通常の法律の立法手続によって改正できる軟性憲法にあたります。

「法律より改正が困難であっても軟性憲法に分類される。」という点が誤りです。

肢2 正

単に憲法という名のある法典が存在し、その内容の有無は問わないものを形式的意味の憲法といいます。

これに対して、ある特定の内容を持っている憲法を実質的意味の憲法といいます。

この実質的意味の憲法には、固有の意味の憲法と立憲的意味の憲法とがあります。

実質的意味の憲法であれば必ず形式的意味の憲法になるわけではないことに注意しましょう。

例えば、イギリスの不文憲法は、形式的意味の憲法ではないが、実質的意味の憲法であり、中でも立憲的意味の憲法であるということです。

肢3 誤

「第99条

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」

憲法尊重擁護義務を負うのは、国家権力にある立場であって、国民にはこのような義務はありません。天皇が含まれているのは、明治憲法下では、主権が国民ではなく天皇にあり、強い政治的な権力を有していたからです。

肢4 誤

 国際協調主義や条約の遵守を徹底すると、憲法に反する条約さえ許されると解することもできるので、条約の方が優位であるとする学説もあります。

しかし、条約が憲法に優位すると解すると、内容的に憲法に反する条約が締結された場合には、衆議院で可決されれば、法律よりも簡易な手続きによって成立する条約(61条 60条)によって憲法を改正できることとなり、国民の過半数の決議という憲法改正(96条)の厳格な要件を経た手続きに反し、国民主権を無視することになります。

条約の締結権(73条3号)および条約の国内法的効力自体、憲法に根拠を有するものであり、根拠を与えている憲法が、かえって、根拠を与えられている条約よりも効力において劣ると考えるのは背理ですね。

ですから、憲法が条約に優位するので、条約によって憲法を改正することはできないのです。

肢5 誤

日本国憲法の前文は法規範性を有すると一般に解されている。







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