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行政法 行政事件訴訟法 (H24-18)


行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(以下「行政処分」という。)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。


1 医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告は、行政処分に該当しない。

2 地方公共団体が営む簡易水道事業につき、水道料金の改定を内容とする条例の制定行為は、行政処分に該当する。

3 都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、行政処分に該当する。

4 (旧)関税定率法の規定に基づき税関長が行う「輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある」旨の通知は、行政処分に該当しない。

5 地方公共団体の設置する保育所について、その廃止を定める条例の制定行為は、行政処分に該当する。



解答 5 


まず、肢3、4はテキストの判例の知識で消去できるでしょう。


((肢3)

都市計画法の地域指定の決定は、行政計画の一つであり、国民の自由が制限されます。

例えば、今まで10階建て以上のマンション等の建築物が建てることができる地域であったのに、都市計画法の地域指定によって第一種低層住居専用地域に指定された場合、3階建て以上の建築物が建てられなくなったりします。

しかし、ある地域で工業地域とする指定の決定をした場合にも、判例 は、権利制限的効果が不特定多数の者に対する一般的抽象的なものに過ぎず、取消訴訟の対象となる処分として認めませんでした。


(肢4)

税関長の通知も、行政庁の観念の通知とみるべきものとされています。

しかし、この通知によって輸入申告者は、申告にかかる貨物を適法に輸入することができなくなるという法律上の効果を及ぼすものなのです。そのため、税関長の通知も権力的な色彩が強く、国民の権利を救済するためには、処分性を認めるべきなのです。

したがって、取消訴訟の対象となるのです。


(肢1)

医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告は、行政指導です。

「勧告」がヒントとなります。

第2条6号(行政指導) 

行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

行政指導は、指導、勧告、助言等の行為であって、行政処分(行為)にあたらないものです。

事実上の行為なので、行政処分がなされたような法的な効果は生じません。

また、行政処分のように一方的な行為ではなく、あくまでもソフトな方法で、相手方である国民の任意の協力に基づいて、一定の行政目的達成の実現をしていくものです。


(肢2)(肢5)

残りは、肢2と5ですが、マイナーな判例なので、判例を知らなくても、処分性の要件の定義に戻って考えれば何とか判断できるのではないでしょうか。

処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいいます(3条2項)

具体的には、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しあるいはその範囲を確定することが法律上認められているものをいいます。

このように、取消訴訟の対象となるには、処分性がなければなりません。

 以上より、肢2と5のどちらが直接国民の権利義務を形成するものであるかどうか考えるのです。この場合の国民というのは、少数者、つまり具体的な個人あるいは一定範囲の国民をイメージするとよいでしょう。処分性があるということは少数者の権利を制約しているからこそ、裁判で救済できるようにしてあるのです。

 そうすると、肢2の水道料金の改定の方は、その地域住民全員に対して影響が及ぶものであるのに対して、肢5の保育所の廃止は、保育所を利用する者に対してのみ影響が及ぶものです。

 ですから、肢2よりも肢5の方が処分性を有しているのではないかという予測がつくと思います。

 このように知らない判例が出題されても、処分性の要件の定義に戻って考えて正答率を少しでも上げる努力をしましょう。




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