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民法 総則 (H18-27)


制限行為能力者と取引をした相手方の保護に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。


1 制限行為能力者が自己の行為を取り消したときには、相手方は受け取っていた物を返還しなければならないが、相手方は、制限行為能力を理由とする取消しであることを理由に、現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる。

2 制限行為能力者が未成年者の場合、相手方は、未成年者本人に対して、1か月以上の期間を定めてその行為を追認するかどうかを催告することができ、その期間内に確答がなければその行為を追認したものとみなされる。

3 制限行為能力者が成年被後見人であり、相手方が成年被後見人に日用品を売却した場合であっても、成年被後見人は制限行為能力を理由として自己の行為を取り消すことができる。

4 制限行為能力者が被保佐人であり、保佐人の同意を得なければならない行為を被保佐人が保佐人の同意またはそれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにした場合において、被保佐人が相手方に対して行為能力者であると信じさせるために詐術を用いたときには、制限行為能力を理由としてこの行為を取り消すことはできない。

5 制限行為能力者が被補肋人であり、補助人の同意を得なければならない行為を被補助人が補助人の同意を得てした場合であっても、相手方は、制限行為能力を理由として補助人の行為を取り消すことができる。



解答 4 


1 誤

この問題のポイントは、「相手方は、~現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる。」の部分です。

本来、取り消されれば、いわば「今までのことは無かったことにしてくれ」ということであって、法律行為が遡及するので、受け取ったもの全てを返還しなければなりません。

にもかかわらず、現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる(121条)としたのは、公平の観点から制限行為能力者を保護するためです。

ですから、相手方は全額返還するのが当たり前です。

よって、肢1は誤りです。問題3のイと類似する問題です。


2 誤

この問題のポイントは、「相手方は、未成年者本人に対して、~催告することができ」の部分です。

制限行為能力者である未成年者は、単独では完全に有効な法律行為をし、または受けることができません。

ですから、相手方は、能力が備わった未成年者か、または法定代理人に催告するべきなのです。よって、肢2は誤りです。


3  誤

この問題のポイントは、「相手方が成年被後見人に日用品を売却した場合であっても、~自己の行為を取り消すことができる。」の部分です。

売買は法律行為であるから、成年被後見人は取り消すことができるのが原則です。

しかし、売却の対象が食料などの日用品であっても、常に取消すことができるとすると、取引の相手方が不当に不利益を被るので公平の観点から、日用品に限っては、例外的に取消しの対象から除外したのです。

また、ノーマライゼーションの見地から社会的弱者である成年被後見人の自己決定を尊重するためでもあります(9条)。

よって、肢3は誤りです。


4 正

この問題のポイントは、「詐術を用いたときには、制限行為能力を理由としてこの行為を取り消すことはできない。」の部分です。

被保佐人が保佐人の同意などを得ずにした場合は、能力の補充がされていませんから、取り消すことができるのが原則です。

しかし、被保佐人が相手方に対して行為能力者であると信じさせるために詐術を用いた場合にも、取り消しができるとして被保佐人を保護するのは、取引の相手方が不当に不利益を被ります。

そこで、公平の観点から、詐術を用いた場合、例外的に取消すことができないとしたのです(21条)。

よって、肢4は正しいです。

なお、原則と例外を区別して理解することは民法を得意にする上でとても重要なので意識して勉強してみてください。


5 誤

この問題のポイントは、「相手方は、~補助人の行為を取り消すことができる。」の部分です。

そもそも取消すことができるのは、(120条)、制限行為能力者の保護のためです。

相手方には肢2にあるように、催告権(20条)があり、確答がない場合に取消擬制される場合もあります。また、取引の相手方は通常契約の維持を望むでしょうから、催告権以上の取消権を与えるのは公平の観点から妥当でありません。よって、肢5は誤りです。




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