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行政法 地方自治法 (H26-23) 


A市在住の日本国籍を有する住民X(40歳)とB市在住の日本国籍を有しない住民Y(40歳)に関する次の記述のうち、地方自治法の規定に照らし、正しいものはどれか。


1 Xは、A市でもB市でも、住民訴訟を提起する資格がある。

2 Yは、A市でもB市でも、住民訴訟を提起する資格がない。

3 Xは、A市でもB市でも、事務監査請求をする資格がある。

4 Yは、A市では事務監査請求をする資格がないが、B市ではその資格がある。

5 Xは、A市でもB市でも、市長選挙の候補者になる資格がある。


解答 5 


過去問(H19-25-ア、H21-24、H25-21-1)を勉強していれば容易に正解できたでしょう。


肢1 誤  肢2 誤  肢3 誤  肢4 誤

住民訴訟をするためには、直ちに訴訟を提起することはできず、その前提として、まず住民監査請求(242条)をしなければならないのが原則であり(住民監査請求前置主義)、まずは監査委員の判断を聞いて、その上で、監査委員の判断に納得できないときに、第三者たる裁判所に判断を委ねる。

したがって、住民監査請求をした住民以外は住民訴訟を提起できない。

そして、住民監査請求をすることができるのは、当該普通地方公共団体の住民に限られる(地方自治法第242条1項)。

逆に言うと、当該普通地方公共団体の住民であれば、日本国民でなくても外国人でも住民訴訟を提起できる。

これに対して、事務監査請求は、日本国民でありかつ当該普通地方公共団体の住民に限ってすることができる。

12条2項

日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の事務の監査を請求する権利を有する。

以上より、A市在住の日本国籍を有する住民X(40歳)は、A市の住民訴訟および事務監査請求の両方をすることができる。これに対して、B市在住の日本国籍を有しない住民Y(40歳)は、B市の住民訴訟は提起できるが、日本国民ではないので事務監査請求はできない。

なお、XはA市以外の普通地方公共団体では両方ともすることはできない。同様に、YもB市以外の普通地方公共団体では住民訴訟をすることはできない。

肢5  正

第19条  

1  普通地方公共団体の議会の議員の選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のものは、別に法律の定めるところにより、普通地方公共団体の議会の議員の被選挙権を有する。

2  日本国民で年齢満三十年以上のものは、別に法律の定めるところにより、都道府県知事の被選挙権を有する。

3  日本国民で年齢満二十五年以上のものは、別に法律の定めるところにより、市町村長の被選挙権を有する。

上記の通り、普通地方公共団体の議会の議員になるためには、普通地方公共団体の住民である必要があるが、市長や知事は日本国民であれば、年齢要件しか課せられず当該普通地方公共団体の住民である必要はない。

したがって、Xは、A市でもB市でも、市長選挙の候補者になる資格がある。

なお、YもA市でもB市でも、市長選挙の候補者になる資格がある。




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