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商法・会社法 (H24-40)


吸収合併に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、正しいものはどれか。


1 吸収合併は、株式会社と持分会社との間で行うこともできるが、株式会社を消滅会社とする場合には、社員の責任の加重など複雑な法律問題が生じるため、株式会社が存続会社とならなければならない。

2 吸収合併存続会社は、消滅会社の株主に対して、消滅会社の株式に代えて存続会社の株式を交付し、消滅会社のすべての株主を存続会社の株主としなければならない。

3 吸収合併存続会社の株主総会において、消滅会社の債務の一部を承継しない旨の合併承認決議が成立しても、債務を承継しない旨の条項は無効であって、すべての債務が存続会社に承継される。

4 吸収合併存続会社の株主で当該吸収合併に反対した株主が株式買取請求権を行使し、当該会社が分配可能額を超えて自己株式を取得した場合には、当該会社の業務執行者は、取得対価につき支払義務を負う。

5 財務状態の健全な会社を存続会社として吸収合併を行う場合には、消滅会社の債権者の利益を害するおそれがないことから、消滅会社の債権者は、消滅会社に対し、当該合併について異議を述べることはできない。



解答 3


肢1  誤

会社であれば、法律上制限なく合併できるので「吸収合併は、株式会社と持分会社との間で行うこともできる」点は、正しいですが(748条)、持分会社を存続会社とする合併もありえるので(751条)、「株式会社が存続会社とならなければならない。」という点が誤りです。

第748条

 会社は、他の会社と合併をすることができる。この場合においては、合併をする会社は、合併契約を締結しなければならない。

第751条

会社が吸収合併をする場合において、吸収合併存続会社が持分会社であるときは、吸収合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。

三  吸収合併存続持分会社が吸収合併に際して吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員に対してその株式又は持分に代わる金銭等(吸収合併存続持分会社の持分を除く。)を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項  他省略


肢2  誤

合併は株主に重大な影響を及ぼすことから、合併に反対の株主が投下資本の回収をできるようにしなければなりません。

本来、株主が投下資本の回収をするには、株式譲渡という方法があります。

しかし、合併によって、株式の価値が下がる可能性もあるので、市場で株式譲渡をするのは容易とはいえません。

そこで、会社側に株式を買い取ってもらえるという株式買取請求権を反対株主に与えているのです(785条)。

したがって、合併に反対の株主が株式買取請求権を行使した場合は、それに応じることから「消滅会社のすべての株主を存続会社の株主としなければならない。」わけではありません。


肢3  正

吸収合併とは、合併の当事者となる会社のうちの一つの会社を存続会社として残し、その余の会社の権利義務を存続会社に承継させて消滅させるものをいいます(2条27号)。

例えば、甲社が乙社を吸収合併する場合、甲社が乙社の権利義務を包括承継し、乙社は消滅することになります。

包括承継とは、自然人の相続と同じように合併後の会社が消滅する会社の債権債務を含めた全てを承継するということです。相続に似ているイメージです。

したがって、合併という企業再編の方法を取る以上、消滅会社の債務の一部を承継しないということはできないため、このような合併承認決議が成立しても、債務を承継しない旨の条項は無効であって、すべての債務が存続会社に承継されるのです。

なお、債務の一部を承継しないという方法をとる場合は、事業譲渡など他の企業再編の方法をとることになるのです。


肢4  誤 

自己株式取得には、一定の財源規制があります(461条1項~7項、166条1項但書、170条5項)。例えば、定款を変更して株式譲渡制限会社にする場合(107条)、これに反対する株主が株式買取請求をした場合において、株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならないとされています。

この場合、当該会社が分配可能額を超えて自己株式を取得した場合には、当該会社の業務執行者は、取得対価につき支払義務を負うことになります(464条)。

もっとも、本肢のように、例えば、会社の財産状態が悪い時期に吸収合併するような場合に吸収合併存続会社の株主で当該吸収合併に反対した株主が株式買取請求権を行使し、当該会社が分配可能額を超えて自己株式を取得した場合には、緊急性が高くやむをえない措置のため、このような支払い義務はありません。


肢5  誤

吸収合併には、存続会社と消滅会社がありますね。

両会社にも会社債権者は存在します。

債権者にとってみると、存続会社なら取引の相手方の規模が変るし、消滅会社なら取引主体そのものが変化します。

このように、合併をすることで、会社に関わる会社債権者に重大な影響を及ぼすので存続会社と消滅会社の両方において債権者保護手続きがあります(第789条、第799条)。

第789条  

次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。

一  吸収合併をする場合 吸収合併消滅株式会社の債権者

第799条

 次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、存続株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。

一  吸収合併をする場合 吸収合併存続株式会社の債権者




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