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基礎法学  (H24-1) 


「判例」に関する次の記述のうち、明らかに誤っているものはどれか。


1 判例は、一般的見解によれば、英米法系の国では後の事件に対して法的な拘束力を有する法源とされてきたが、大陸法系の国では法源とはされてこなかった。

2 英米法系の国では、判決のうち、結論を導く上で必要な部分を「主文(レイシオ・デシデンダイ)」、他の部分を「判決理由」と呼び、後者には判例法としての拘束力を認めない。

3 判例という語は、広義では過去の裁判例を広く指す意味でも用いられ、この意味での判例に含まれる一般的説示が時として後の判決や立法に大きな影響を与えることがある。

4 下級審が最高裁判所の判例に反する判決を下した場合、最高裁判所は申立てに対して上告審として事件を受理することができる。

5 最高裁判所が、法令の解釈適用に関して、自らの過去の判例を変更する際には、大法廷を開く必要がある。



解答 2 


肢1 正

(H22-2‐イ)と類似する問題です。

英米法系の国では、判例法主義であり、大陸法系の国では成文法が主要な法源となっているのです。


肢2 誤

レイシオ・デシデンダイとは、判例法を中心とする英米法において、判決理由(裁判理由)の内、判例法としての法的拘束力が認められる判断部分(判決の核心部分)のことをいいます。判決理由とは、裁判所(裁判官)が言い渡す判決の内、その結論たる主文に至った理由のことをいいます。英米法のような判例法の法制度の下では、判決理由(裁判理由)の内、どの部分に判例法としての法的拘束力が生じるかが大きな問題となるのです。

これに対して、判決理由のうち、レイシオ・デシデンダイに含まれない部分を、ラテン語でオビタ・ディクタム(obiter dictum・傍論)といいます。以上で、レイシオ・デシデンダイは主文ではないため、誤りです。

過去問(H22年度問題18肢エ)も参照しておいてください。


肢3 正 

日本は英米法系の国のような判例法主義をとらず、制定法主義をとっているので、後の裁判を事実上拘束するにとどまるのです。もっとも、違憲立法審査権を有するので後の判決や立法に大きな影響を与えることがあります。そのため、肢5の通り、法令等の憲法違反の判断や最高裁判所の判例を変更する判断をするときは、大法廷で裁判しなければならないのです。


肢4 正

第318条1項の通りです。

(上告裁判所)

第311条1項

上告は、高等裁判所が第二審又は第一審としてした終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所が第二審としてした終局判決に対しては高等裁判所にすることができる。

第318条1項

上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。


肢5 正

(H17-1)および(H19-1-5)とほぼ同じ問題です。

法令等の憲法違反の判断や最高裁判所の判例を変更する判断をするときは、大法廷で裁判しなければなりません。




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