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商法・会社法 (H23-38)


株式取得に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。


1 株式会社は、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることができる。

2 譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かの決定は、定款に別段の定めがない限り、取締役会設置会社では取締役会の決議を要し、それ以外の会社では株主総会の決議を要する。

3 承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である。

4 株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数および特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の特別決議を要する。

5 合併後消滅する会社から親会社株式を子会社が承継する場合、子会社は、親会社株式を取得することができるが、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。



解答 1


1 誤

例えば、小規模かつ閉鎖的な株式会社では、会社の経営にとって都合の良くない者が株主になるのを避けたい場合もあります。

そこで、このような会社は、定款で株式譲渡制限を定めることができるのです。

つまり、定款で譲渡制限規定を設ければ、取締役会設置会社では取締役会の承認がなければ、第三者へ株式を譲渡できないことになるのです。

そのため、譲渡の相手方は、株主が譲渡する前にわかっている場合なので特定承継の際に、このような定款による譲渡制限をすることができるのです。

これに対して、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得は、法律上当然に承継されてしまうのでそもそも承認が問題となりません。

そのため、一般承継の場合に会社の経営にとって都合の良くない者を排除する場合は、事後的に、会社がその承継者に対して売り渡し請求をすることができるのです(174条)。


(相続人等に対する売渡しの請求に関する定款の定め)

第174条

 株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。


このように定款による譲渡制限の定めが、譲渡前の規制手段であることがわかっていれば、法律上当然に承継される一般承継の場合には適用されないことがわかるでしょう。


2 正

譲渡承認機関となるのは取締役会設置会社では取締役会であり、取締役会非設置会社では株主総会となるのが原則です(139条1項)。

なお、会社にとって重要なことは、会社の経営にとって都合の良くない者を排除することなので、定款で譲渡承認機関を代表取締役などに決定することも出来ます(139条1項但書 140条5項但書)。

譲渡承認機関をどこの機関に任せるかは手続的なことなので、定款自治に委ねても問題がないからです。


3 正

定款で株式の譲渡制限を定めた趣旨は、会社の経営にとって都合の良くない者を排除することです。

 そのため、会社との関係で効力を否定すれば足りるので当事者間では有効であるが、その効果を会社に対抗できないということになるのです。


4 正

株式譲渡自由の原則からすると、株式に財産的な価値がある以上、一定の場合、会社は自己株式も取得することができます(155条)。

しかし、それは、実質的にみて株主に対する払い戻しと同じことになります。

これでは会社の財産的基礎が危うくなります。そのため、自己株式取得には、一定の要件があります。

つまり、 株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数および特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の決議を要し(156条)、この決議は特別決議なのです(309条2項2号)。


(株式の取得に関する事項の決定)

第156条  

1  株式会社が株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。ただし、第三号の期間は、一年を超えることができない。

一  取得する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)

二  株式を取得するのと引換えに交付する金銭等(当該株式会社の株式等を除く。以下この款において同じ。)の内容及びその総額

三  株式を取得することができる期間

2  前項の規定は、前条第一号及び第二号並びに第四号から第十三号までに掲げる場合には、適用しない。


第309条  

1  株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。

2  前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。

二  第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。)


5 正

子会社は親会社の株式を取得することは原則としてできません(135条)。

子会社に親会社の株式を取得させることで形式的には自己株式取得にあたらないことになりますが、これではやはり会社の財産的基礎が危うくなるので自己株式取得の財源規制の潜脱を禁じるためです。

もっとも、子会社は一定の場合、親会社の株式を取得できます(2項)。

肢1でも解説しましたが、例えば、相続や合併などの一般承継の場合は、法律上当然に株式を取得するからです。

この場合、自己株式取得の財源規制の潜脱を禁じるため事後的に規制があります。それが本肢の通りです。

つまり、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならないのです(135条3項)。

具体的には、保有する親会社の株式を売却したり消却したりしなければならないということです。

(親会社株式の取得の禁止)

第135条

1 子会社は、その親会社である株式会社の株式(以下この条において「親会社株式」という。)を取得してはならない。

2  前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

一  他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社の有する親会社株式を譲り受ける場合

二  合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合

三  吸収分割により他の会社から親会社株式を承継する場合

四  新設分割により他の会社から親会社株式を承継する場合

五  前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める場合

3  子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。




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