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商法・会社法 (H23-36)


商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引(以下、「本件取引」という。)を自己とAとの取引であると誤認した。本件取引の相手方の誤認についてCに過失がなかった場合、A・B・C間の法律関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。


1 契約はAとCの間で成立し、Aが本件取引によって生じた債務について責任を負うが、CはBに対しても履行の請求をすることができる。

2 契約はAの商号を使用したBとCの間で成立するが、AはBと連帯して本件取引によって生じた債務について責任を負う。

3 契約はAとCの間で成立するが、BはAと連帯して本件取引によって生じた債務について責任を負う。

4 契約はAの商号を使用したBとCの間で成立するが、Aは本件取引によって生じた債務について半分の割合で責任を負う。

5 Cは、本件取引における契約の相手方がAであるかBであるかを選択することができるが、一方を選択した場合は他方との契約関係の存在を主張できない。



解答 2


1 誤 3 誤 5 誤

名板貸とは、自己の氏名や商号を使用して営業をなすことを他人に許諾することをいいます。つまり名義貸しのことです。

名義貸しは名義貸人が名義借人に対して代理権を与えるものでないため、契約の当事者は、あくまでも名義を借りた者とその相手方になります。本問では、BとCということになります。

  ですから、契約当事者をAとCにしている肢1と3は誤りとなります。

また、契約当事者を選択できるとしている肢5も誤りです。


2 正 4 誤

名板貸の趣旨は、取引の相手方が、商号を信頼して取引をしてしまうので、名義借主だけではなく商号を貸した名義貸主にも責任を負わせようというものです。

この場合、名板貸人は名義借受人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負うことになります。

 連帯責任である以上、名板貸人は、取引の相手方に対して全額について責任を負います。

 よって、肢2が正解となります。

なお、この名板貸人の責任は、表見責任(=外観法理)です。

つまり、名義借受人が名板貸人の名義を使用し(外観の存在)、名板貸人が名義使用を許諾して(帰責性)、取引の相手方が誤認(第三者の信頼)した場合に、名板貸人は連帯責任を負うのです。本問では、取引の相手方の誤認についてCに過失がなかったとあるので、これらの要件を全て満たしているのです。




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