WEB練習問題(リニューアル中) > 行政法過去問 > 行政手続法 > 行政法 行政手続法 (H22-11)

行政法 行政手続法 (H22-11)


行政手続法に基づく意見公募手続に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。


1 意見公募手続の対象となる命令等に含まれるのは、政令や省令などのほか、審査基準や処分基準といった行政処分の基準に限られ、行政指導の基準は含まれない。

2 地方公共団体の行政庁が法律を根拠とする許認可等の審査基準を定める場合には、意見公募手続が義務付けられている。

3意見公募手続において意見を提出できる者については、特段の制限はなく、命令等との利害関係などとは関わりなく、何人でも意見を提出できる。

4 意見提出の期間は同法で法定されており、これを下回る期間を定めることは認められていない。

5 意見公募手続において、提出意見があった場合には、提出意見やそれを考慮した結果などを公示しなければならないが、提出意見がなかった場合には、その旨を公示する必要はない。


解答 3  


1 誤

命令等とは、法律に基づく命令又は規則、審査基準、処分基準、行政指導指針です(2条8号)。

審査基準、処分基準、行政指導指針は、命令「等」に含まれます。

したがって、意見公募手続の対象となる命令等に、行政指導の基準も含まれます。


2 誤

問題7肢4(H19-13肢2)とほぼ同じ問題です。

地方公共団体の機関の行政指導と同様に地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、行政手続法の意見公募手続に関する規定は適用されません(行手法3条3項)。

したがって、地方公共団体が、審査基準(命令等に含まれる)を定める場合には、意見公募手続は義務付けられていないのです。


3 正

 39条1項からわかるでしょう。


第39条

1 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。


条文の通り、意見公募手続では、広く一般の意見を求めることになっています。

意見公募手続は「パブリックコメント手続」ともいわれ、平成17年6月の行政手続法の改正により新設された手続です。

「意見公募」とあるくらいですから、特段の制限はなく、命令等との利害関係などとは関わりなく、何人でも意見を提出できるのです。


4 誤

 問題5肢1(H18-13-1)と同様の問題です。

意見公募手続における意見提出期間は30日以上が原則です(39条3項)。

これは、国民が命令等の案の情報提供を受けて、熟知し意見を形成するのに、最低でもこれくらいの期間は必要であることから定められた目安です。

しかし、行政運営は円滑・迅速な行政サービスを実現する役割から、ある程度社会情勢に合致するように臨機応変に対応しなければならない場合もあります。

39条4項1号ほどの災害時等の緊急性がなくとも、災害を未然に防ぐために早期に命令等を制定する必要もあります(40条1項)。

このような場合は、国民の意見も考慮に入れる必要はもちろんありますが、早期に命令等を制定するほうが国民の利益になる場合もあります。

そのため、30日以上の意見提出期間が不要の場合もあります。

こうした例外的なやむを得ない状況のときは、その理由を公示して透明性を確保するとともに意見提出期間を30日未満としてもよいのです。


5 誤

 問題5肢3(H18-13-3)と同様の問題です。

命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、命令等の題名、命令等の案の公示の日、提出意見、提出意見を考慮した結果及びその理由を公示しなければならないとされています(1項各号)。

命令等の公示日や意見の有無の公示などの結果の公示がなされて初めて命令制定過程の透明性の確保ができるからです。

なお、提出意見がなかった場合にあっては、その旨も公示しなければなりません。

したがって、意見公募手続において、提出意見がなかった場合には、その旨を公示しなければならないのです(行手法第43条1項3号)。 また、結果の公示があれば、再度の意見公募手続は不要です。



前の問題 : 行政法 行政手続法 (H18-13)
次の問題 : 行政法 行政手続法 (H24-12)

問題一覧 : 行政手続法

WEB練習問題(リニューアル中) > 行政法過去問 > 行政手続法 > 行政法 行政手続法 (H22-11)