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民法 総則 (H19-28)


時効制度の存在理由については、次のような考え方の対立がある。


A説「時効とは、取得時効が成立した場合には無権利者であった者に権利を取得させ、消滅時効が成立した場合には真の権利者の権利を消滅させる制度である。」

B説「時効とは、真に権利を有する者または真に義務を負わない者が、長期間の経過によってそのことを証明できないことにより不利益を被ることのないよう救済するための制度である。」


時効の援用(民法145条)に関する次の説明のうち、最も妥当なものはどれか。


1 時効の援用は、時効の効果が道徳に反する面があるため、それによる利益を受けるかどうかを当事者の良心にゆだねたものであるとの説明は、A説と矛盾する。

2 時効の援用は、民事訴訟法上の弁論主義から求められるものであるとの説明は、B説と矛盾する。

3 時効の援用は、はじめに遡って権利の得喪の効果を生じさせるものであるとの説明は、A説と矛盾する。

4 時効の援用は、権利関係を証明するための法定証拠を提出する行為であるとの説明は、B説と矛盾しない。

5 時効の援用は、法定の停止条件であるとの説明は、A説と矛盾する。


解答 4


A説は、実体法説、B説は訴訟法説です。


A説は、問題文にあるとおり、時効期間が経過すれば、時効を援用する側が特に何もしなくてもその効果が生じるものです。ですから、例えば、他人の土地を自分の土地だと思って10年間占有していれば、それだけで取得時効が成立します。裁判所で主張することも必要ありません。


これに対して、訴訟法説は、単に時効期間が経過しただけでは取得時効や消滅時効が成立したと考えません。民事訴訟において、時効の事実を主張・立証して初めて援用したと考える学説です。ですから、民事訴訟で主張・立証しなければ、取得・消滅時効が成立しないのです。


このように、実体法説は、時効期間の経過によって直ちに効果が生じるのに対して、訴訟法説は、民事訴訟で主張・立証して初めて効果が生じるのです。


この両説の違いを知っていれば、解答は容易です。以下個別に解説しておきます。


肢1 誤 

この説明は、試験との関係では、通説である実体法説の中の不確定効果説の中の停止条件説であると思ってください。

この通説では、テキストにあるとおり、一定期間の経過という客観的な事実があれば、自動的に実体法上の効果が生じるものではなく、時効制度を利用するかどうかは、当事者の意思を尊重すべきであると考えます。

そこで、当事者の意思を尊重し、時効を援用するかどうかの選択肢を与えたと考えるのです。

ですから、援用して初めて確定的に効果が生じることになります。

この学説では、当事者の意思を尊重するため、問題文の「利益を受けるかどうかを当事者の良心にゆだねたものである」という部分があてはまります。

停止条件説も実体法説の一種ですのでA説と矛盾しないのです。


肢2 誤

弁論主義=当事者による主張・立証主義という意味です。

ですから、上記の訴訟法説の見解となりますから、B説と矛盾しません。


肢3 誤

時効の援用をすれば、遡及的に権利の得喪の効果を生じさせます。

これはA説、B説共に同じです。ですから、A説と矛盾しません。


肢4 正

上記の通り、訴訟法説は、主張・立証によって援用したとする考えですから、B説と矛盾しません。


肢5 誤

これも、通説である実体法説の中の不確定効果説の中の停止条件説のことです。

ですから、A説と矛盾しません。




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