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行政法 行政事件訴訟法 (H25-16) 


いわゆる申請型と非申請型(直接型)の義務付け訴訟について、行政事件訴訟法の規定に照らし、妥当な記述はどれか。


1 申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分がされないことにより「重大な損害を生ずるおそれ」がある場合に限り提起できることとされている。

2 申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分をすべき旨を行政庁に命ずることを求めるにつき「法律上の利益を有する者」であれば、当該処分の相手方以外でも提起することができることとされている。

3 申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分がされないことによる損害を避けるため「他に適当な方法がないとき」に限り提起できることとされている。

4 申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある」ことなどの要件を満たせば、裁判所は、申立てにより、仮の義務付けを命ずることができることとされている。

5 申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、それと併合して提起すべきこととされている処分取消訴訟などに係る請求に「理由がある」と認められたときにのみ、義務付けの請求も認容されることとされている。


解答 4  


「いわゆる申請型と非申請型(直接型)の義務付け訴訟」とは、テキストで勉強した1号および2号義務付け訴訟のことであり、本問は、それらの比較問題です。消去法で正解して欲しい問題です。


第3条6号

この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。

1.行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。

2.行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。


申請型と非申請型(直接型)の義務付け訴訟とあるように、義務付け訴訟には2種類あって、それらの訴訟要件は異なります。

同じ義務付け訴訟であっても、異なるがゆえに別々に規定されているのであるから、訴訟要件が異なる点が特徴なのです。

 したがって、大雑把にいうと、訴訟要件が共通するという肢は全て誤りということになるのです。それで、肢4以外は、訴訟要件が共通するという肢なのでこれらは全て誤りということになるのです。

 なお、両者の訴訟要件を簡潔に記載しておきます。


(1号義務付け訴訟)

①損害の重大性「重大な損害を生ずるおそれ」

②補充性「その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り」

③原告適格「法律上の利益を有する者」


(2号義務付け訴訟)

①申請者による申請(法令に基づく申請又は審査請求をした者のみ)

②申請に対する行政庁の不作為

③無効または取消すべき瑕疵の存在

④不作為の違法確認訴訟等との併合提起(本案に理由がある場合)


以上の要件の違いを前提に各肢を検討します。


肢1、2、3は、1号義務付け訴訟の要件です。

肢1「重大な損害を生ずるおそれ」

肢2「法律上の利益を有する者」

肢3「他に適当な方法がないとき」


肢5は、2号義務付け訴訟の要件です。

肢5 「併合して提起すべきこととされている処分取消訴訟などに係る請求に「理由がある」と認められたときにのみ」


以上より、消去法によって、肢4が正解となります。


なお、仮の義務付け訴訟の要件については、1号、2号の区別がなく、共通しています。あくまでも「仮」の訴訟であって、その要件の区別は上記の通り、本訴訟でなされているからです。





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