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民法 物権 (H10-29)


根抵当権に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。


1 根抵当権の被担保債権は、債務者との特定の継続的取引から生ずる債権に限られる。

2 根抵当権の設定に当たっては、元本の確定期日を定めることを要し、この定めのない根抵当権の設定は他の債務者を害するおそれがあるので無効である。

3 根抵当権者は,元本が確定した時に存在する被担保債権の元本についてのみ極度額を限度として優先弁済を受けることができる。

4 元本の確定前においては、根抵当権の被担保債権の範囲を変更することができるが、この場合、後順位の抵当権者の承諾は不要である。

5 元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得なくても、その根抵当権を譲渡することができる。


解答 4


1 誤

債権には、一定の種類の取引によって生じる銀行取引や売買取引から生じるものもあります。

2 誤

継続的取引を担保するのが根抵当権であり、いつ元本を確定するかは、当事者の取引内容にもよるので元本の確定期日は、必ずしも定める必要はありません。

設定者も根抵当権者も元本の確定請求をすることができるので、元本の確定期日をあらかじめ決めなくてもかまわないからです。

ただ、確定期日を定める場合は、5年以内となっています。

確定期日を定めた場合、設定者は期日が到来するまで確定請求をすることができないので、あまりに確定期日が長期間であると、いつまでも担保を抹消することができず設定者にとって不利益となるからです。

3 誤

債権から生じるものは、元本だけでなく、利息や損害賠償などもあります。これら全てを極度額の範囲内で担保するのが根抵当権です。

4 正

後順位(根)抵当権者にとって利害が大きいのは、極度額です。

例えば、2億円の価値のある不動産に第一順位の1億円の根抵当権がついていて、第二順位の1億円の根抵当権がついていた場合、第一順位の極度額が2億円に増加したら、第二順位の根抵当権者の担保の分がなくなりますね。

ですから、極度額を増加する変更をするときには、後順位(根)抵当権者の承諾が必要となります。

これに対して、被担保債権の範囲を変えても、利害関係人には何も影響がありませんから、後順位(根)抵当権者の承諾は不要です。

5 誤

元本確定前の根抵当権の譲渡は、取引の相手方がAさんからBさんに変わることを意味しています。

取引の相手方が変わると取引内容等も変わってくるので、設定者にとって利害関係が生じます。

ですから、元本確定前の根抵当権の譲渡には、設定者の承諾が必要なのです。




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